「タンギングが汚いよ!」トランペットを吹いていると誰もが一度は言われたことがあるのではないでしょうか。私自身、学生時代に部活の先生や先輩に指摘され、大いに悩んだ覚えがあります。何度も何度も繰り返し練習するのになかなかうまくならないんですよね。
今にして思えば、タンギングというものに対して誤ったイメージを持っていて、間違った方法で練習していたことが原因だったのだと思います。今回は、私がプロの先生のレッスンを受け、タンギングに対するイメージが霧が晴れるように変わった、考え方・練習方法をご紹介いたします。
私と同じようにタンギングで悩んでいる方が、少しでも何かを掴むきっかけになれば幸いです。
タンギングに対するイメージを変える
まず、具体的な練習方法をご紹介する前に、タンギングに対するイメージを変えましょう。
タンギングとは音を出すためにすることではない
「タンギングとは何か」と聞かれたら、なんと答えますか?学生時代の私は「音を出すために”トゥーッ”と言うこと」なんて思っていました。「舌を突いて、息に勢いをつけ、音を出しやすくする」みないた感じだったかもしれません。タンギングとは「音を出すこと」そのものというイメージでした。
このタンギングに対する誤ったイメージが、私が長らくタンギングで悩むことになる元凶でした。
タンギングとは音の頭を整えることである
「音を出すためにすること」ではありません。タンギングとは「音の頭を整えること」なのです。私が、綺麗なタンギングが出来るようになった、プロの先生に教わったことです。
トランペットの音が出るのは、マウスピースと密着した唇の上下の隙間から、息を吹き出すことにより唇を振動させ、その振動が生み出す音がトランペットを伝わるからです。タンギングをしなくても音は出るんです。少し考えれば当たり前の事なんですが、当時の私にとっては衝撃的な事実でした。
タンギングは、音を出すためではなく、唇と息の流れが生み出す音の出始めを、整えるために行うものなのです。
音の頭を整えるタンギングの練習方法
では、早速、音を出すためではない、音の頭を整えるタンギングの練習方法をご紹介します。
タンギングしなくても音は出ることを体感する
まずは、タンギングしなくても音は出るんだということを自分で体感しましょう。
- 何の音でも良いので、まっすぐ音を伸ばします。
- 唇はそのまま動かさず、音が鳴らなくまで徐々に息を減らします。
- 息が止まり完全に音が消えたら、また少しずつ息を増やし、唇が徐々に振動し始めるのを感じます。無理に唇を締めたり音を出そうとしては行けません。
- 2と3を繰り返し「ふぅー・・・ぅふぅー・・・」という感じで、息を入れるだけで音が出せるようにしていきます。
最初のうちは、3でなかなか音が鳴らないと思いますが、辛抱強くただ息を吹き込み唇が振動し始めるのを待つのがコツです。この練習をすることで、タンギングをしなくても音が出るのだということをしっかりと体感します。
水門をスッと開けるように舌を下げる
息だけで音がなるようになってきたら、いよいよ舌の動きをつけて練習します。
- 先程練習した息を入れるだけで音がなる状態を作ります。
- 「ふぅー」と息を入れ音が鳴り始めたら、息の圧力は変えずに、舌先を上の前歯の裏あたりに添えて、息を止めます。流れている水に、スッと水門を下ろすイメージです。
- 閉じた水門をスッと開けるように舌を下げ息を通し、音を鳴らします。この閉じた水門をスッと開けるように舌を下げて息の通り道を作る舌の動きが、綺麗なタンギングです。息の流れを区切るイメージでしょうか。
- 「ふぅー・・・ぅふぅー・・・」という先ほどの息遣いに、水門をスッと開ける舌の動きを組み合わせ「とぅー・・・とぅー・・・」と、音が鳴るように繰り返します。
高い音を出すときにタンギングの勢いに頼っていたことに気づく
この練習を続けることで、息を入れるタイミング、唇が鳴り出すタイミング、舌を下げ息が通るタイミングがあってくるので、とても音の頭が綺麗になってきます。
同時に、高い音域のときにいかにタンギングの勢いに頼っていたのかに気づくと思います。今回の練習方法を高い音域でやるのは最初はかなり大変だと思いますが、これを出来るようになることでどの音域でも綺麗なタンギングが出来るようになってくると思います。
さいごに
今回は、私が学生時代にプロの先生に教わったことをご紹介いたしました。私の場合、トランペットの調子が悪いときは、大体タンギングの勢いに頼る吹き方になっていたりするので、この練習をして体や舌の使い方を思い出すようにしています。トランペットのタンギングで悩んでいる方、ぜひ試してみてください。